きらぼし歩中会 平成30年10月のウォーク案内 第133回『善福寺池から善福寺川へ』

写真:30.9.8皇居東御苑天守閣跡     (写真上でクリックすると拡大されます)

 
江戸三名池の井之頭池と三宝寺池の二つを今年歩きましたので、三つ目の善福寺池を巡り、善福寺川沿いを神田川に合流する中野富士見町まで下ります。平成21年12月に一度善福寺川を歩いていますが、善福寺池には寄れませんでした。石神井川ウォーク報告文で書きましたが、この三つの池は地形上ほぼ同じ経度に位置します。池図で確認すると、東経139度35分前後にほぼ南北に並んでいます。もう一つ深大寺付近の湧水群も三つの池の南方に位置します。奥多摩から連なる武蔵野台地が傾斜を落とし、ほぼ同じ標高50㍍ラインのオアシスです。

武蔵野台地の中程から水が湧き出る理由は、赤土の関東ローム層の基層に、古多摩川が長年にわたって傾斜の緩い巨大な扇状地を形成されたことに起因しています。水を蓄える関東ローム層と扇状地の湧水が作った複合的な地形で、日本が誇るべき奇跡の台地と言えるようです。

善福寺池は二つの細長い池から成り、ボート場のある上流側の池が「上の池」、アシなどの生える下流側の池が「下の池」と呼ばれ、自然の景観がよく保存されています。上の池の最上流部には「遅の井」と呼ばれる湧水スポットがありました。源頼朝が奥州征伐の途中ここに宿陣し、自ら飲み水を求め、弓筈で土を掘ること七度、「今
や遅し」と水の出を待ったことから名付けられたものと言われています。現在は湧き
出し口を滝の形で復元しています。近くの井草八幡宮は「遅転野八幡」とも呼ばれ、
この地方の総鎮守です。下の池から善福寺川の流れが始まりますが、しばらくは住宅
街沿いの道が続くこともあり、井草八幡から荻窪駅までバスに乗車しましょう。

荻窪駅近くの太田黒公園に寄ります。故太田黒元雄氏の旧居跡で、銀杏並木と池や芝
生が見ものです。氏愛用のピアノなどが記念館に展示されています

松渓橋に出て善福寺川の遊歩道が始まります。すぐに善福寺川公園から、和田堀公園
に続く二つの都立公園が本日のメインです。二つの公園を合わせて30万㎡、遊歩道は
5㎞も続きます。遊歩道は山歩きに匹敵する程の森林浴が楽しめます。都内の川沿い
の遊歩道の中でも、公園大通りと称されるほど自然に満ちあふれています。もう一つ
の特徴が、善福寺川の蛇行です。ほどよい川の蛇行の連続が景観にアクセントをもた
らしてくれます。歩いていてどっちがどっちだか分からなくなるくらい不思議な気分
にさせてくれます。

環七通りを横断すると、川の両側は大きな立正佼成会の施設が並びます。和田広橋の
先で、同じ水量の神田川と合流します。神田川を少し下ると地下鉄丸ノ内線の中野富
士見町駅のゴールです。

                                (井上 修)




                                  

 

 

 

 

 

 

 

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